水のコラム
2023.07.28
水まわり
排水トラップとは何?仕組みや構造、種類やお手入れ方法などをご紹介
一戸建てやマンションなど集合住宅に関わらず、各家庭の水回り設備には必ず排水トラップが使われています。
排水トラップの存在を意識せずに生活している人も多いでしょうが、快適な生活を送るための大切な役割があり、長期間掃除しないでいるとさまざまなトラブルが起きる可能性があります。
そこで今回は、さまざまな種類の排水トラップを紹介し、役割や取り付け場所、お手入れ方法などを詳しくご紹介したいと思います。
排水トラップとは
排水トラップって何?という人もいるかもしれません。ここでは排水トラップの役割や取り付け場所についてご紹介します。
役割
排水トラップとは水道管の中にある、常に一定量の水がたまるようになっている場所のことです。
昔の住宅は「ぼっとんトイレ」などが一般的でした。トイレで発生した汚物をそのまま便槽と呼ばれるタンクに貯める仕組みで、便槽のニオイがトイレにそのまま侵入する為トイレは快適な場所とは言えませんでした。
しかし近年では下水処理が整備され、排水トラップが常に一定の水がたまり排水管を塞ぐのでフタの役割を果たし、下水からの悪臭や害虫が家の中に入ってこないようになっています。
このたまった水は封水と呼ばれ、現在の住宅の多くの水道管に採用されています。
取り付け場所
排水トラップは水回り設備によって取り付け場所が異なります。排水口のすぐ下に取り付けされているものもありますし、水道管の中間部分が排水トラップになっているものもあります。
トイレの便器の中でたまっている水も封水で、便器の排水口部分も排水トラップのひとつです。
排水トラップは常に水がたまるようになっているため、汚れや異物もたまりやすく掃除をしないでいるとニオイやつまりなどのトラブルが起きる可能性があります。
排水トラップを放置すると
排水トラップを長期間掃除しないでいるとどんなトラブルが起きるかをご紹介します。
異臭が漂う
排水トラップは複雑な構造をしているものが多いうえに水がたまるようになっているので、汚れや異物が残りやすいです。
特にキッチンや浴室では食べ物カスや油汚れ、髪の毛や皮脂などが流れてきて堆積していく可能性があるでしょう。これらの汚れが腐敗し雑菌を繁殖させることで、異臭が発生させるケースもあります。
また汚れの堆積が進行すると排水管を狭くし、水の流れを悪くします。封水が残らずに下水のニオイが漂うかもしれません。
水があふれる
汚れの堆積や異物の詰まりなどで、排水トラップやその奥の排水管で詰まりが起きてしまう場合もあります。水の通り道が無くなると汚水や排水が流れていけずに、逆流して家の中にあふれるかもしれません。
雑菌や悪臭が室内に侵入することになり、快適に設備を使えなくなるため早めに対処する必要があるでしょう。
排水トラップの種類
排水トラップには、さまざまな種類があります。どんなものがあるかをご紹介します。
Pトラップ
Pトラップは排水管の形がPを横に倒したようになっているトラップです。上から流れ落ちてくる排水を、壁面方向に流すときに使われます。
ドラムトラップ
ドラムトラップは、水をためる部分がドラムのような形をした排水トラップです。封水をたくさん貯められる特徴があり、ユニットバスや浴室に採用されることが多いですが、手入れしづらいというデメリットもあります。
おわん型トラップ
おわん型トラップとはベルトラップとも言われ、おわんを逆にかぶせたような形状の排水トラップです。キッチンや浴室の排水口付近に取り付けられていることが多いでしょう。簡単な構造で、工具を使わず簡単に取り外して清掃可能です。
Uトラップ
Uトラップは排水管の出口と入り口が水平で、真ん中が少し下がってUの形をしている排水トラップです。シンプルで安価ですが、ゴミや汚れなどがたまりやすいというデメリットがあります。
Sトラップ
Pトラップとよく似ている形状でSトラップがあります。Pトラップは壁向きに取り付くのに対し、Sトラップは床に取り付けられるためにSの字に見える形状です。コンパクトなので洗面台の下によく使用されています。
排水トラップの掃除方法
排水トラップは汚れやゴミがたまりやすい場所なので、普段からこまめに掃除することが重要です。ここでは、さまざまな種類の排水トラップに共通する掃除方法や注意点を紹介します。
下準備をする
まずは掃除する道具として使い古した歯ブラシ、キッチン用洗剤、スポンジなどを用意しましょう。また直接排水トラップを触るのに抵抗がある場合は、ゴム手袋を使うのもおススメです。
キッチンやお風呂に使われるおわん型トラップは、掃除の際に取り外すと排水口のフタが無くなった状態になるために悪臭がダイレクトに漂う場合もあるため、マスクをしておくとよいでしょう。
排水トラップの汚れはキッチン用洗剤とスポンジで汚れを落とせますが、スポンジが入りにくい場所には歯ブラシを利用すると便利です。
排水管にお湯を流す
排水トラップにたまっている汚れは油汚れや洗剤カスなどが多いので、お湯を一気に流すと溶けて流れていく可能性が高いでしょう。
40度から60度程度のお湯を使い、こまめに流し込むように習慣づければ、つまりが起きにくくなります。
この時、熱湯を使うと排水管が痛む可能性があるので、絶対に熱湯のまま使ってはいけません。
パイプクリーナーを使う
液体のパイプクリーナーを使えば、髪の毛やヘドロ汚れによるつまりを溶かし、汚れを落としてくれる効果が期待できます。
使い方は簡単で、排水口に液剤を流し込み30分から1時間ほど放置した後に流すだけです。つまり解消だけでなく、掃除にも活用するのがおススメです。
使う前に温めてから使うと洗浄効果がアップするので、ボトルをお湯につけて40度から50度程度に温めてから使いましょう。
重曹とお酢を使う
重曹とお酢を使った洗浄方法もあります。4分の1カップの重曹と2分の1カップのお酢を準備しましょう。
排水口に重曹を撒いた後にお酢を流し込み、お湯を加えます。しばらくすると炭酸ガスの泡が発生し、汚れを落としてくれる効果が期待できます。パイプクリーナーの時と同様、30分から1時間程度放置した後に流しましょう。
まとめ
排水トラップは水まわり設備に必ず取り付けられており、悪臭や害虫を防ぐ大切な役割があります。
普段は意識せずに設備を使っていますが、トラブルを未然に防ぐためにもこまめに掃除することが重要です。
お湯を流したり薬剤を流したりと手軽にできる方法もありますが、何度かに一回は排水トラップを分解し、丁寧に掃除しておくようにすれば、トラブルを防ぐこともできますし排水トラップの破損や劣化なども見つけることができるでしょう。