水のコラム
2025.05.29
その他
淡路島の水質と暮らしへの影響〜豊かな自然に支えられた水の恵み〜【水道職人:公式】
兵庫県南部に位置する淡路島は、美しい海と山に囲まれた自然豊かな島です。
観光地としても知られる淡路島ですが、実はその水質の良さにも注目が集まっています。
今回は、淡路島の水の特徴や水道水の安全性、地下水や海水の質、そして生活や農業への影響をご紹介します。
淡路島の水がどれほどの価値を持ち、私たちの暮らしとどのように関わっているのか、一緒に見ていきましょう。
目次
淡路島の水源と水循環の特徴
淡路島の水は主に山地や丘陵部(きゅうりょうぶ)に降る雨水を起点とした、自然循環によって支えられています。
淡路島には大きな河川こそ存在しません。
しかし、島内の山々に降った雨が地中に染み込み、地下水として蓄えられたり、小さな河川やため池を通じて流れ出たりすることで、水資源が形成されています。
このような地形と気候によって、淡路島は比較的安定した水資源を持っているとされています。
また、淡路島には大小あわせて約1万カ所のため池が点在しており、これらが農業用水や災害時の水源として重要な役割を果たしています。
農業が盛んな地域である淡路島では、水の安定供給が地域の生産性を左右する要素の一つなのです。
参考:淡路ため池ものがたり┃兵庫県
水道水の水質と安全性
淡路島の水道水は、その多くが地下水やため池を水源とし、島内の浄水場で処理されたうえで供給されています。
とくに淡路市や南あわじ市では地下水の利用が多く、そのため比較的水質の良い水道水を得られるとされています。
また、必要に応じて本土側の水源から送水を受ける淡路島送水管も整備されており、安定供給が確保されているのです。
水質検査の結果においても、厚生労働省の水質基準をクリアした安全な水が供給されており、住民の方々は安心して水道水を利用できます。
淡路島の水道水の硬度は中程度で、飲みやすさにも定評があるため、観光客からも水がおいしいとの声が挙がっているのです。
参考:淡路広域水道企業団 南あわじ地域┃淡路広域水道企業団
地下水の特徴とその課題
淡路島の地下水はミネラルを適度に含んでおり、農業や工業にも活用されています。
とくに南あわじ市では地下水を農業用水として活用し、玉ねぎや米などの生産を支えています。
一方で、地下水の過剰な汲み上げによる水位低下や、沿岸部での「塩水化(えんすいか)」が問題視されつつあるのです。
塩水化とは「塩水くさび現象」とも呼ばれ、沿岸部の地下水を過剰利用することにより、海水が地下に入り込んでしまい、地下水が塩水化してしまうこと現象のことです。
地下水は限りある資源であり、自然に回復するまでに時間がかかるため、持続的な利用が求められています。
淡路島では地下水の利用量や水質の監視体制を強化し、将来にわたって安全で安定した水資源を守るための取り組みが進められています。
海水と水質保全の取り組み
淡路島の周囲を囲む海も、重要な資源です。
播磨灘(はりまなだ)や大阪湾、紀淡海峡(きたんかいきょう)に面した淡路島の沿岸は、漁業資源が豊富であり、海苔やワカメ、鯛などの漁業が盛んに行われています。
しかし、生活排水や農業排水、観光によるゴミ問題などが海水の汚染を引き起こす要因となることもあるのです。
そのため、兵庫県や市町村では「瀬戸内海環境保全基本計画」などに基づき、水質保全に力を入れています。
浄化槽の整備や下水道の普及、河川・海岸の清掃活動などが行われ、地域住民の協力によって環境保全が進められているのです。
参考:水・土壌・地盤・海洋環境の保全┃環境省
水質が生活に与える影響とは
水の質は、飲料水としての安全性だけではなく、暮らしの快適さや産業活動にも大きな影響を与えます。
たとえば、水道水に含まれるカルシウムやマグネシウムの量が少ないと、石けんカスが発生しにくく、洗濯物がふんわりと仕上がります。
また、淡路島では地元の野菜や海産物のおいしさが、水質の良さに支えられている面もあるといわれています。
さらに、水道の設備トラブルや配管の劣化も、水質の安定によってリスクを軽減できるのです。
日常の見えない部分で、水の質は私たちの暮らしの質を支えてくれています。
未来に向けた持続可能な水環境づくり
気候変動や人口構成の変化などにより、これからの水環境にはさまざまな課題が生じると予測されています。
淡路島でも、夏の渇水や豪雨による土砂流出、海面上昇などの影響が懸念されています。
こうした中、地域では再生可能な水資源の活用や雨水の貯留、節水意識の向上といった施策が進められているのです。
また、学校や地域団体を通じて水の大切さを学ぶ環境教育にも力が入れられ、次世代の担い手たちが水を守る意識を育んでいます。
自然と共存する淡路島だからこそ、水という資源をいかに守り、活かしていくかが今後の大きなテーマとなるでしょう。
淡路島の水質は宝物
淡路島の水は、自然の地形や気候、地域の知恵と工夫によって守られ、育まれてきました。
生活用水としての安心感はもちろん、農業や漁業、観光など幅広い分野でその恩恵が活かされています。
今後も水質を維持し、次の世代へと受け継ぐためには、一人ひとりの行動が大切です。
水道の使い方や排水の管理、地域の水環境への関心を持つことが、淡路島の未来を守る第一歩となるでしょう。
また、各ご家庭で水道管や排水管、蛇口などの水まわりを整備しておくことも、水質には重要です。
破損した水まわり設備では、ご家庭で水質が低下してしまうため、安全な水を利用するために、メンテナンスをしっかりと行ってください。
豊かな自然と調和する暮らしの中で、水の価値を再認識することが、これからの淡路島にとって重要な意味を持つことになるでしょう。