水のコラム
2021.12.24
水のトラブル
ウォーターハンマーとはどのような現象?防止策をチェック!
水道の蛇口を閉めた時や食器洗い機を使っている最中に、突然「ドン」という衝撃音がした場合、ウォーターハンマーという現象が起こった可能性があります。
この記事では、ウォーターハンマーとはどのような現象なのか、いかなる対策が必要なのかを詳しく解説します。取り返しのつかない事態になる前に、確認しておきましょう。
ウォーターハンマーとはどのような現象?
バルブを急速に開け閉めすることによって、大きな衝撃を発生させる「水撃作用」のことをウォーターハンマーといいます。
水道管内の流れを急に止めると液体のスピードが急速に変化し、配管内の圧力が上がったり下がったりします。蛇口を止めた反動が他の部分にも伝わり、まるでハンマーのような大きな衝撃音や異音となってしまいます。
これは言わば、満員電車が急停止した状態だといえるかもしれません。急停止したことで、立っている人たちが前に流れ込んでいく状態に似ています。
ウォーターハンマーが起こるきっかけは、2つの原因があります。
1つ目は、水道管内の圧力が変動することによって生じるウォーターハンマーの現象です。
シングルレバー水栓などで急に水やお湯を止めた際、今まで流れていた水の運動エネルギーが行き場所を失って、その代わりに水道管内部に圧力が加わってしまいます。その結果、衝撃音を発生させてしまうというわけです。
2つ目は、水柱分離によってもたらされるものです。
ポンプを使用してくみ上げて流す水道管の場合、ポンプの急停止によって圧力が大きく変わります。
これが水柱分離です。全自動洗濯機や食器洗い器で発生する、大半の衝撃音の原因となっています。
また、一つの場所で起こったトラブルが引き金となって、多くの箇所にトラブルを広げるという可能性も考えられています。
さらに、水道を止めた場所で発生する異音だけではありません。音は瞬時に遠くまで伝わるため、他の家の異音をキャッチしてしまうことがあるのです。最近ではハンドルを回すタイプの水道が徐々に減り、急激に水を止めるシングルレバーの水栓や、自動で水の開け閉めができるタイプの水栓や機械を取り入れる家庭が増えています。
加えて高層ビルが増えたことや住宅密度の問題により、水道の給水圧力と給水量の増加や、住宅で使用される水栓のタイプの変化や水圧の変化が年々見られています。そのため、ウォーターハンマーによる水のトラブルは今後もますます増加していくでしょう。
ウォーターハンマーの対応措置を行うべき理由
ウォーターハンマーが起きた場合、できるだけ早めに対応をするべきです。なぜ対応措置を行う必要があるのか、ここではその理由を3つ紹介します。
■近所迷惑などによるトラブルを避けるため
1つ目は、ご近所トラブルを避けるためです。水道管で発生する音や振動はご近所にも伝わります。トイレやお風呂など、水を使う場所であればどこでも生じる現象なので、意識して防ぐのは難しいでしょう。
もしご自身が、アパートやマンションの上下階や隣の家から変な音が聞こえる、振動するといった異変を感じたら「何が起こったのだろう」と不安になるのではないでしょうか。
深夜の時間帯や、寝室などで発生すると大きなストレスになります。ずっと続くようだと、取り返しのつかないご近所トラブルに発展してしまうこともあるでしょう。
■水漏れ事故を避けるため
対策をするべき理由の2つ目は、水漏れ事故を避けるためです。急に水圧が変わってしまうのが、ウォーターハンマーの主な原因です。
水圧の変化によって下水管を振動させたり衝撃を与えたりといったことが続けば、配管の接続部分・給水装置・接続箇所が弱まってしまいます。結果、水漏れが起きてしまうのです。
また、下水管は壁の中に隠れているため、水漏れし始めたとしても当初は気付きにくく、あっという間に被害が広がってしまうことも。マンション・アパートに住んでいる人の場合、下の住人に指摘されてから気付くこともあるようです。
■給湯器やセンサーの破損・故障の危険性があるため
対策をするべき理由の3つ目は、給湯器やセンサーが破損または故障する危険性があるからです。
たとえば、お湯の温度が急に変化したり、突然お湯や水が出なくなったりすることもあるかもしれません。いきなりお湯の温度が上がったら、危険ですよね。
また、一時的な不調では終わらず、機械やセンサーの故障につながったりメーターがおかしくなってしまったりする可能性も考えられます。加えて、配管自体を破裂させるという可能性も。
ご紹介した理由から、しっかりとした対策が必要になるといえるでしょう。
ウォーターハンマーを防止するためには?
では、どうしたらウォーターハンマーを押しとどめることができるのでしょうか。5つの防止策を紹介します。
■適切な水栓をセットする
1つ目は、適切な水栓をセットすることです。
まず、急に開いたり閉まったりするバルブを避けましょう。回して開け閉めするタイプの蛇口に比べて、レバー式の水道管でウォーターハンマー現象が起こるのは、急激に水の流れを変えるということが原因です。配管に設けられた水栓についても同様だといえるでしょう。
突然に開閉するタイプの「バタフライバルブ」「ボールバルブ」などは避けてください。代わりにゆっくりと開けることができる水栓を使用すれば、ウォーターハンマーによるショックを抑えられるでしょう。「グローブバルブ」「ゲートバルブ」などは、水の量をセーブできるのでおすすめです。
■チェックバルブを使用する
2つ目は、チェックバルブを使用することです。逆止弁とも呼ばれる「チェックバルブ」は、液体が逆に流れ出すのを予防します。
液体配管の立ち上り部分に「チェックバルブ」をセットすれば、ウォーターハンマーによって起こる異音を防止してくれるでしょう。
しかし「チェックバルブ」でも防止効果が期待できないものもあるため、取り付ける場合には注意が必要です。
■エア抜きバルブなどを設置する
3つ目は、「エア抜きバルブ」や「リリーフバルブ」を設置することです。水道管内の高い場所にそれらをセットすることで、空気の流れ道を作ることにつながります。
また「リリーフバルブ」は配管内での過大の圧力がかかった時に、圧力を解放する働きがあります。ポンプの吐出側配管に取り付けると、水道管やポンプに与えるダメージをかなり抑えることができるでしょう。
■水撃低減機をセットする
4つ目は、水撃低減機をセットすることです。取り付けることで、水の勢いを吸い込んで衝撃音の発生を抑えることができます。
しかし、適切な位置に設置しなければ効果がありません。また、発生箇所や水栓の種類によって、必要な水撃防止機が違ってきます。自分で設置する自信がない場合は、水道業者にお願いするのが確実かつ安全でしょう。
■水道のコックを絞る
5つ目は、水道のコックを絞ることです。シンプルですが効果的な方法といえるでしょう。水道のコックを絞ることで、全自動洗濯機や食器洗い機などで水を急に止めた時の圧力変化を弱めることができます。
しかし、水道から出てくる水の量が少なくなってしまうので、シャワーの水圧が弱すぎると感じることもあるかもしれません。また、コックを絞りすぎると給湯器が使用できなくなる可能性もあるので注意しましょう。
まとめ
水道の蛇口を開けた時に、急に音や振動をともなう衝撃が生じてしまうかもしれません。ウォーターハンマーの原因は一つとは限らず、複合的な要因で起きることも多いです。
発生する音や振動は自分の家だけではなくご近所にも伝わるためしっかりと対策することが必要です。放っておくと、近隣トラブルなどの取り返しがつかない問題に発展する場合もあります。
チェックバルブを使用したり水撃防止器を取り付けたりするなどして、できることから始めていきましょう。